徒然雑記帖

2017年5月の記事一覧

613557→5月28日(業平忌・辰雄忌)

今現在、午後2時5分現在のアクセス件数は、613557

数字の並びをそのままにして、加減乗除等の記号を入れてみたくなりました。

 

613-5!+5×7=528 → 5月28日

 

【注】 中学生の皆さんへ !は「階乗」または「ファクトリアル」と読み、詳しいことは高校の数学で学習しますが、例えばここに出てくる5!なら、5×4×3×2×1を計算することになります。このようにn!なら、n×(-1)×…×3×2×1の自然数の積を計算します。

今回はあまりにも簡単に528ができあがったので唖然としましたが、今日5月28日と言えば文学忌*1の一つ「業平忌」です。

 

その話をする前に・・・

前任校で春休みの宿題に「あなたが一番好きな歴史上の人物を一人取り上げて、その生涯やどのような点が好きなのかレポート用紙5枚程度でまとめなさい」という課題を出される先生がいらっしゃいました。どのような人物が高校生に人気なのかと気になりました。大河ドラマに取り上げられていた平清盛とかかな?と思いながらレポートを見せていただいたところ、徳川家康が多く、意外だな・・・と思った記憶があります。

皆さんだったら誰を取り上げますか。私、今だったら在原業平(ありわらのなりひら)にするかもしれません。でも、業平をよく知らなかった(あまり関心がなかった)高校の頃だったら誰にしただろうとか考え込んだところです。

 

在原業平は、伊勢物語(本校では2年生の国語総合で2学期に学習する予定と聞いています)のモデルとされている実在の人物で、和歌に優れ六歌仙*2の一人でもあります。今から約1,200年前に生きたこの方、天皇の血を引く由緒正しい実在の貴族なのですが、既存の風習にとらわれず、56歳の生涯の中で多くの女性(一説には3,733人)と関係を持っていきます。一夫多妻制の当時の結婚形態を考慮に入れてもスゴイの一言ですが、別にそういう所に憧れるのではなく、反骨の精神で自由奔放に、そして風流に生きたその生き様に心惹かれるわけです。実は、今日5月28日はそんな業平の命日とされる日なのです。

業平が晩年を過ごした京都市小塩の十輪寺では、毎年この日に「業平忌」を営み、平安王朝時代の歌聖業平を偲んでいます。今年は日曜日に当たりましたが、10年ほど前、土曜日だった日にそのお寺を訪ねたことがあります。全国から集まった本堂に入りきれないほど沢山の業平ファンが境内から見守る中、住職が三弦を弾きながらお経(般若心経)を唱え始めると、木漏れ日に薫風が葉影を揺らす中、鶯(うぐいす)のさえずりだけが聞こえ、異空間に迷い込んだ気がしました。

彼が関わりを持った女性たちも、そのことで運命が分かれ、幸・不幸様々な人生を送ったに違いないと、胸に迫るものがあったことも静かに思い出しました。業平が生きた年月よりも1つ多く齢を重ねてしまった今、「貴方にとって恋愛とは何だったのか?」と訊いてみたい気がします。

 

話は大きく変わりますが、作家の堀辰雄が昭和28年5月28日、肺結核のため享年48歳で亡くなっており、今日は「辰雄忌」でもあります。

中には「堀辰雄なんて聞いたことないよ・・・」という人がいるかもしれません。でも、数年前に大ヒットした宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」は見たことがある人も多いはずです。これ、実在の人物である堀越二郎をモデルにその半生を描いたものでしたが、堀辰雄の小説「風立ちぬ」からの着想が盛り込まれていたと知ると、きっと身近に感じるはずです。実際、映画のポスターには、「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」と印刷してありました。

余談ですが、「後期一般入試を受けて入学した1年生は、全員が堀辰雄の『風立ちぬ』*3の抜粋を読んで入学している」と言ったら、驚くかもしれません。

 

実は・・・

この3月に実施された熊本県公立高校入試の国語で、この「風立ちぬ」からの抜粋でしょっぱなの問題が作問されていたのです。「一朝一夕」にふりがなをつける問題がありましたよね!できていましたか?

 

そんなこんなでもうすぐ5月も終わり。衣替えの季節です。夏服への移行期間ということで、ざっと見て8割以上の男子生徒が白い開襟シャツを着ています。

高校総体もサッカーなど先行実施分が始まり、順当に勝ち進んでいるようです。保護者の皆さまには、暑い中ご声援をいただきありがとうございました。

学校の四季の中で皆さん方が一番輝く季節の到来です。文武両道で頑張ってください。                      【校長】

 

*1文学忌(ぶんがくき)とは、作家の命日をその雅号やペンネーム、代表作などにちなんで、その文学的な業績を偲ぶ日としたものです。国文学の専門家の手帳のカレンダーには、文豪の文学忌や誕生日がびっしり書き込まれているとか聞いたことがあります。

もし、皆さん方の中に「桜桃(おうとう)忌」とか聞いて、「太宰治大先生!」とか言い出す人がいたら、相当なファンなのかもしれません。桜桃忌はもうすぐ6月13日、さくらんぼが美味しい頃です。

 

2六歌仙(ろっかせん)とは、平安時代の勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう:天皇や上皇の命によって編集された歌集)である「古今和歌集(こきんわかしゅう)」の序文に名前が挙げられている 6人の歌人をいいます。具体的には、正遍照(そうじょう へんじょう)、原業平(ありわらのなりひら)、屋康秀(ふんやのやすひで)、撰法師(きせんほうし)、野小町(おののこまち)、友黒主(おおとものくろぬし)です。

試験で名前を問われることがあり、「大いに喜べ 小僧の分際(おおいによろこべ こぞうのぶんざい)」→【変換】いにべ 在 などと覚えたものですが、皆さん方はどのように暗記しているのでしょうか?

 

*3モチロン、「風立ちぬ」は「風が立たない」という打消しの意味ではなく、「あっ、風が吹いた!」という意味です。36年前、グリコ・ポッキーCM曲として松田聖子さんが歌った同名の曲が、後に爆発的にヒットしたことがありました。大学生だった当時、友達同士での「風立ちぬってどういう意味だろうね?」という会話の中で、何気に打消しで訳したところ、「あんたの文法、相当ヤバい!」と笑われたことがありました。

祝 アクセス数600000件達成


いつも本校のホームページにお越しいただきありがとうございます。



  600000とは、5月19日(金)23時35分現在の本校のHPのアクセス件数です。
 

50万件を達成したのは、今年の1月30日(土)でした。従って、1日平均917件という県下の公立高校の中では最高水準のアクセスを日々いただきながら順調に数を増やし、109日(約3ヶ月半)で10万件を積み上げたことになります。

私が球磨工業高校の驚異的なアクセス数に気付いたのは、前任校に勤務していた平成27年10月頃で、20万件にもうすぐ届こうとしていた頃でした。当時から球磨工のアクセスデータを記録して、どうすればこのように多数のアクセスを頂戴できる魅力的なホームページになるのか分析していました。

それによると、本校のアクセス数は、次のような経緯をたどっています。

200000 2015年【平成27年】10月14日

   ↓

   ↓              177days(1日当たり564件)

   ↓

300000 2016年【平成28年】4月8日

   ↓

   ↓              157days(1日当たり637件)

   ↓

400000 2016年【平成28年】9月12日

   ↓

   ↓              140days(1日当たり714件)

   ↓

500000 2017年【平成29年】1月30日

   ↓

   ↓              109days(1日当たり917件)

   ↓

600000 2017年【平成29年】5月19日

ここでクイズです。現在のペースがあまり落ちなければ東京オリンピックの開催の年である(2020年【平成32年】)までに桁上がりして100万(1,000,000)件が到達できるのでしょうか?

ざっと暗算しても達成できることがお分かりと思いますが、一応電卓を叩いて確認してみます。

残り40万÷917=436日ということで、100万件の達成は来年、2018年【平成29年】の7月28日前後だと思われます。

ところで、600000という数字は、妙に惹きたてられるものがあります。素因数分解をしてみました。

600000=2× 3 × 5 

従って、約数は、1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 10, 12, 15, 16, 20, 24, 25, 30, 32, 40, 48, 50, 60, 64, 75, 80, 96,・・・・・(途中省略)・・・・・, 40000, 50000, 60000, 75000, 100000, 120000, 150000, 200000, 300000, 600000 84個あることになります。

そう言えば、私は名前が西で、その擬音語(onomatopoeia:オノマトピア)の数字表記である24(ニシ)で色々と遊んでいたら、次の面白いことに気付いていたことを思い出しました。

●とりあえず24の2桁を足してみます。

2+4=6

●24の約数を全部足してみます。

1+2+3+4+6+8+12+24=60 「アレっ!」

●24同士を掛けたり足したりしてみます。

24×24+24=600 「何とまぁ!!」

それ以来、この600000(60万)の弟的な存在である60600にも愛着を持っています。生徒の皆さんは、それらの数字を目にするとどんなことを思い出しますか?人によってかなり違うと思いますが・・・、私がパッとおもいつくものをそれぞれ6個ずつ挙げてみます。

「第交響曲」・・・くま川鉄道で土日に1日1本運行される観光列車「田園シンフォニー」ではベートーベンの交響曲「田園」をBGMで聴きながら美しい田園風景が楽しめます。普段の運行では流れていませんが、「日本一心豊かな通学列車」と言われるこの列車で約190人の本校生が通学しています)

×1023」・・・アボガドロ数(原子、分子、イオンなどの物質粒子1mol[モル]中に含まれるそれらの粒子の数:1年次の化学基礎で勉強します)

は完全数*1」・・・6321

月の花嫁」・・・June bride(ジューン・ブライド:6月に結婚すると幸せな結婚生活を送ることができるという西洋の言い伝え)

は母性の象徴」・・・胎児をお腹に抱える妊婦のイメージ。暖かさ・優しさ

は西洋では悪魔の数字」・・・「悪い」や「無い」を意味する忌み数(不吉な数として忌避される数)であると聞きます。(日本の4「死」や9「苦」みたいなもの?)

60進数」・・・1分は60秒、1時間は60分

60Hz(ヘルツ)」・・・西日本地域の商用交流電源の周波数(電気のプラス、マイナスが1秒間に60回入れ代わっています。その入れ替わる回数を周波数(単位:Hzヘルツ)と言います)

60度は(30度、45度とならぶ)有名角」・・・三角定規の角度でもあり、cos60°=0.5とか1年次の数学Ⅰで学習します。

60兆個」・・・体重「60kg」の平均的男性の細胞の個数(割り算して細胞1個当たりの重さを計算してみたいと思う人は多いかも?)

「結婚60周年」・・・ダイヤモンド婚

60歳からの人生の再設計」・・・還暦を迎え、定年退職した後の老後をどう楽しく送るかは国民みんなの課題

600の前後の数599と601」・・・双子素数2

600円」・・・ 500円+100円(異なる日本円硬貨2枚で作ることのできる最大の金額)

CBR600RR」・・・ホンダの600ccのスポーツバイク(昔、同僚の先生が乗っていました。ナナハン並みのパワーがあるとか。現在生産中止)

600or 600形」・・・電車の形式(新幹線は欠番)

TOEIC600点」・・・社会人が仕事と両立させながらとりあえず目指す点数

「年収600万円」・・・埼玉県では、30代は年収600万円あって「人並み」の生活ができる。(最近の朝日新聞の記事で印象に残っています)
                                     
【校長】

*1完全数とは、自分自身を除く正の約数の和に等しくなる自然数のことです。映画化もされた小川洋子著「博士の愛した数式」で話題になりました。

完全数の最初の3個は 6 (= 1 + 2 + 3)28 (= 1 + 2 + 4 + 7 + 14)496 (= 1 + 2 + 4 + 8 + 16 + 31 + 62 + 124 + 248) です。ウィキペディアによると、「完全数」は「万物は数なり」と考えたピタゴラスが名付け親ということですが、彼がなぜ「完全」と考えたのかについては何も書き残されていないということです。何が「完全」なんでしょうか、気になっています。

2双子素数とは、差が 2 である2つの素数の組のことです。小さい順に(3, 5), (5, 7), (11, 13), (17, 19), (29, 31), ・・・というように双子素数は無限に存在するように思えます。

ウィキペディアによると、素数が無数に存在することは古代ギリシャの時代から分かっていて、ユークリッドの『原論』にその証明があるんだそうです。これに対し、双子素数は無数に存在するかという問題、いわゆる「双子素数の予想」は、いまだに数学上の未解決問題で、「無数に存在するだろう」と多くの数論学者が予想しているということです。

ところで、(3, 5) を除く双子素数は (6n 1, 6n + 1)n は自然数)の形で表せるということに気付きましたか?



アクセス数592017にセミを思う

 いつも本校のHPにお越しいただきありがとうございます。
 59
2017とは、5月11日(木)午前6時16分現在
の本校のHPのアクセス件数です。

ここ1週間の1日当たりの平均アクセス数720件のまま推移したと仮定して、「○○2017」というアクセス数が今年2017年の間に何回程あるのか気になりました。

 

482017・・・2016年12月28日(確定)・・・×

492017・・・2017年 1月15日(確定)・・・○

   ↓

   ↓

   ↓

   ↓

592017・・・2017年 5月11日(本日)・・・○

   ↓

   ↓

   ↓

   ↓

752017・・・2017年12月21日(予定)・・・○

762017・・・2018年 1月 5日(予定)・・・×

 

ということで、あくまでも仮定の下ですが、492017から752017まで27回出現することが予想されます。

 

この27回の「○○2017」の中で素数(中1で習ったように、その数と1でしか割れない数字:、5、7、11、13、17・・・など)はいくつあるのかとても気になり始めました。

末尾4桁の2017自体は素数*1ですが、その前に○○という2桁が付くとどうなるのかということです。昔から知られているように、素数の出方は神出鬼没で予測不能、求める公式はありません。「それら27個のうち3つ位は素数かもしれない」という予想の下、最初の492017から素因数分解をしてみました。

何でも分解しないと気が済まないのは、機械科の教員として染みついた悲しい性(さが)です。「おっと、いきなり最初から素数とは!」と、驚きつつも一つ一つ丁寧に計算していきます。

 

492017・・・素数!

502017・・・3×167339

512017・・・11×89×523

522017・・・素数!

532017・・・3×59113

542017・・・7×77431

552017・・・31×17807

562017・・・3×187339

572017・・・439×1303

582017・・・素数!

592017・・・3×197339

602017・・・13×46309

612017・・・7×17×37×139

622017・・・3×11×61×103

632017・・・23×27479

642017・・・223×2879

652017・・・3×217339

662017・・・19×34843

672017・・・29×23173

682017・・・3×7×47×691

692017・・・素数!

702017・・・素数!

712017・・・3×26371

722017・・・83×8699

732017・・・11×13×5119

742017・・・3×247339

752017・・・7×53×2027

 

ということで、5個ありました。6桁の数字から、ある意図を持って取り出した末尾7の数字27個の中に、素数が5個という出現率(19%)は、高いのか低いのか大いに気になったところです。

 

ところで、生徒の皆さんは、素数はランダム(でたらめ)に現れると思いますか。*2

実は、素数はアマチュアからプロまで多くの同好の士が研究の対象としています。素数が出現するランダム性について、アメリカのスタンフォード大学の数学科の先生方による次のような趣旨の研究結果を読んだことがあります。

最初の1億個の素数を調べた結果、「1で終わる素数」の次がまた「1で終わる素数」になる確率は18.5%で、本当にランダムならこの確率は25%じゃないとおかしい。一体何だ!!という趣旨の話です。

おわかりでしょうか・・・?

素数の末尾はかならず1379なので、確率は4つに1つ即ち25%のはずです。この研究結果によると、100%ランダムに出現するのじゃなさそうです。試しに他の数字でも調べているようで、「3」と「7」で終わる素数が連続して出る確率は30%、「9」で終わる素数が連続して出る確率は約22%だったそうです。

面白いですよね!でも素数を相手に格闘していると、桁が大きくなるほど電卓片手とはいえ計算が大変です。次のようなことはよく知られた事実です。

 
1 数が大きくなるほど、素数の出現頻度が下がる。(素数の出現頻度は、桁数に反比例するのだそうです)
 2
 数が大きくなるほど、素数判定に必要な計算回数が増える。(経験上当たり前のことかもしれませんが、素数発見難度は桁数のほぼ3乗に比例するのだそうです)

 

ということで、622017=3×11×61×103 のように気持ちよくサクサクと素因数分解できたものもありましたが、○○2017のわずか27個が素数かどうかの判定計算は、電卓片手に本日(育友会総会代休)の大半を費やしました。

勿論、ネット上には、素数表や素数判定機、素因数分解計算機など便利なツールが沢山出回っています。今回は、素因数を見つけることができずgive upしてしまった572017に致し方なく使いましたが、数に対する感覚の鋭敏さを保つうえで手計算は大切だと思っています。

 

余談ですが、自分の生年月日が素数かどうか判定するアプリがあります。例えば、2001年7月17日生まれの人がいたとして、これを使うと20010717が素数かどうか一瞬で判定してくれます(この場合、3×17×31×4219と素因数分解でき素数ではありません)。

双子素数(11と13のように差が2の素数の組み合わせ)同士のカップルや2人の生年月日を足した数が素数になればラブラブとか・・・そんな嘘みたいな甘い言葉に誘われて私も色々と相性を確かめたことがあります。最近、何と1京未満(16桁以下)の自然数を対象とする素数判定機が登場し、12桁のマイナンバーが素数かどうか確認して一喜一憂する遊びに使っている人が多いと聞きました。マイナンバーのような12桁の数が素数になる確率はわずか3.8%(詳細は略しますが、「素数定理」を使って計算できます)です。ざっと計算して、1億2千700万人×0.038=483万人ですから、日本人のうち福岡県(約510万人)の人口にちょっと足りない位の人が素数のマイナンバーをもっていることになります。

私も自分のマイナンバーがどうなのか興味津々で使ってしまいましたが、素数ではなくて残念でした*3。そのうえ、個人情報が収集されてしまった可能性について考えが及ばなかったことに気づき、真っ青になったのは後の祭りでした。

 

話は大きく変わりますが、生徒皆さん、「素数ゼミ」って聞いたことがありますか?

北米には、ちょうど17年ごとと13年ごとに大量発生するセミ(蝉)がいて、17も13も素数であることから、「素数ゼミ」と呼ばれています。写真のように目が赤くて少し不気味な感じの日本では見受けないセミです。このセミたちは、普通のセミと同じように、一生の99.9%の長さを地中で脱皮を繰り返しながら幼虫のまま、木の根から養分を吸って過ごします。そして、誕生から17年又は13年が経った特定の年の夏がくると、幼虫はいっせいに地面から這い出します。

昨年2016年は、オハイオ州やペンシルベニア州などで17年ゼミが大発生しました。その数は、何と数十億匹で、電話の声も聞き取れないほどだったと、この珍事、日本でも大きく報じられました。なぜ17年周期と13年周期で大発生するのか、アメリカでは毎年その周期が来るたびに、多くの研究者が仮説をたてておられるようです。しかし、セミの生物時計がこれほどまでに正確な理由は誰も知りません。

この難問を解明し、生物界を驚かせた日本の研究者がいらっしゃいます。数理生態学が御専門の静岡大学の生物学者、吉村仁教授(静岡大学)です。幼いころは、昆虫採集に夢中な「昆虫少年」だったそうです。「素数ゼミ」の名づけ親でもありますが、セミのほかにも様々な動物の行動を進化的な数理モデルで解析されておられます。

世界中から注目された吉村教授の学説*4、「素数ゼミの謎」という著本に詳しく書いてあります。本校の図書館には入ってなかったようですので、司書の坂口先生に購入してもらうようにお願いをしておきました。

地球上にセミが登場したのは2億年以上も前なんだそうです。ちなみに、人類は約700万年前ということです。セミたちが生きるための進化とはいえ、興味が尽きません。関心がある方は是非、読んでみてください。

【校長】

 

*1今年2017年(平成29年)は、西暦の2017も和暦の29も素数です。6年ぶりのダブル素数ということで、年明け頃、素数ファンは大いに盛り上がっていましたが、「素数は素因数分解できないからつまらない・・・」なんていう声もチラホラ聞きました。そういう声を聞くと、意地と根性で因数分解をしてみたくなります。どちらも悪戦苦闘の末、どうにかできました!

2017=(9+44i)(9-44i)

29=(5+2i)(5ー2i)

勿論、iは虚数単位でi=ー1です。このiを使った因数分解は反則でしょうか?

電気科の皆さんは、電気の計算において虚数が大活躍することは御存知のとおりです。電流を通常iで表記しますので、区別するために虚数単位はjを使っていますよね。

 

 

*2素数について深く研究した18世紀の数学者・天文学者である

 オイラー(Euler)は、2357・・・と続く素数について右

 のような関係式を発見しています。不規則に出現する素数と円

 周率の間に成り立つこの綺麗な数式に、オイラーは何を感じた

 のでしょうか?

 


*312桁のマイナンバーが素数でなくがっかりした方に朗報です。マイナンバーは4桁区切が3つ合わさった12桁ですから、4桁ずつ吟味するという楽しみ方もあります。この4桁の素数の出現率は12%位ですから、3つ全部が素数となる確率はこれを3乗して0.1%です。これは本当にレアものかもしれません。

逆に、3つに分けたうち少なくともひとつが素数になるのは何%位でしょう。余事象(3年生の数学Ⅱで学習します)の考え方を使うと計算できます。興味ある方は計算してみてください。

 

 

*4ネタバレにならない程度の概要です。

生活周期が比較的大きな素数になっているのは、17年ゼミと13年ゼミの交雑する可能性が最小限になるからでは?これが先生の仮説です。たとえば、これが7と5という小さな素数だったとしたら、35年に一度、成虫になる時期が一致する。生活周期が長くても、たとえば16と12のように素数でない数だった場合、16年ゼミと12年ゼミが交雑する可能性は48年ごとに出てくる。

17と13のように大きな素数なら、両者が交雑する機会は221年に一度しか巡ってこない・・・

いずれが あやめ か かきつばた

 今日で4月も終わり。2017年も3分の1が過ぎたとか思いながら、どんな部活が日曜日に練習をしているかと学校に歩いて行きました。いつもは車で通勤しているので気付かなかったのですが、学校の北門へ続く上り坂の手前の道路際に紫色の花をつけた「あやめ」らしい植物(右の写真の黄色枠)が目にとまりました。
 そう言えば、これから6月にかけて、あやめ や しょうぶ や かきつばたのシーズンです。県内でも玉名市の「高瀬裏川花しょうぶまつり」や天草市の西の久保公園で開催される「天草花しょうぶ祭り」等がもうすぐ開催されるはずです。
 ところで、生徒の皆さん。「いずれがあやめ か かきつばた」(「何れが菖蒲か杜若」)という言葉を聞いたことありますか。どちらも優れていて、選択に迷うことの例えで、あやめ と かきつばた はよく似ていて見分けにくいところから来た言葉のようです。

私自身、以前、あやめと しょうぶ と かきつばたの違いを調べていて混乱したことがあります。生徒の皆さん方は大丈夫ですか?

あやめ と しょうぶはどちらも漢字で書くと「菖蒲」です。しかし、漢字は同じでも菖蒲(あやめ)と菖蒲(しょうぶ)は全く異なる植物です。「あやめ」はアヤメ科、「しょうぶ」は何とサトイモ科なんです。

次に、菖蒲(しょうぶ)と花菖蒲(はなしょうぶ)も別物。花菖蒲はアヤメ科です。だから「あやめ」と「しょうぶ」と「はなしょうぶ」は、ぜぇ~んぜん違う植物です。

さらに、「いずれがあやめ か かきつばた」の杜若(かきつばた:これはアヤメ科)が加わって、まるで4つ巴(どもえ)の争い。頭がぐちゃぐちゃになるのです。

整理すると、5月5日の端午の節句の菖蒲湯に入れる①「しょうぶ」(菖蒲)、②「花菖蒲」、③「あやめ」(菖蒲)、④「かきつばた」(杜若)の4つは似ているようで、実は全然違うのです。

まず、①サトイモ科に属する①「しょうぶ」は、左の写真のように花の様相が全く違いますのでこれはいいでしょう。

植物学的にアヤメ科アヤメ属に分類される②「花菖蒲」、③「あやめ」、④「かきつばた」は同じ仲間だから似ていて当たり前。右の花の写真を見ても、「違いを覚えるのは無理!」と諦めたくなるほど微妙です。

そこでもっと調べていくと、③「あやめ」と②「花菖蒲」・④「かきつばた」を見分ける一つの手があることが分かりました。③「あやめ」は陸上の乾燥地に自生しているのに対して、②「花菖蒲」と④「かきつばた」は日当たりのよい水辺や湿地に群生するのだそうです。

そういうことで、学校の北門へ続く上り坂の手前の道路際の花は、乾燥地にありましたので「あやめ」ということで一件落着。

剣状の細かい葉が縦に並んで茂る様子(これが文目(あやめ)模様に似ていることにその命名の由来があるということらしいです)がしっかりしたイメージを与え、花言葉も「良き便り」とか「希望」で前向きなこともあり、好きな花の一つです。

 
 
ところで、学校の横に所在する村山公園の別名は、「あやめ公園」なんだそうです。人吉市のHPの公園一覧のサイトにも「村山公園(あやめ公園)」の表記がありました。この記事を書くに当たり、どこにあやめ があるのだろうと、公園内をくまなく捜し回りました。「『ツツジ公園』と言ったほうがいいのでは?」と思うほど様々な色のツツジ*1が満開で、まさに百花繚乱の装いでしたが、あやめ はついに見つけることができず残念でした。でも、初夏を思わせる日差しの中、新緑が青空に映えて、最高に気持ちがよかったです。 


話は大きく変わりますが、「かきつばた」と聞けば、高校の頃習った伊勢物語を思い出します。伊勢物語とは、全125段からなり、ある男(平安時代きっての色男、在原業平*2【ありわらのなりひら】とされています)の元服から死にいたるまでを、数行程度(長くて数十行、短くて23行)の仮名の文と歌で綴った物語です。

「かきつばた」が出てくる第9段、校長室にあった国語便覧で改めて調べてみたらまさしく次のような話で、それを習った頃の教室の匂いまで懐かしくよみがえりました。


昔、ある男(=在原業平とおぼしき主人公)が都への未練を残しつつ関東の方への旅を続け、三河の八橋(今の愛知県知立市のあたり)に着いた。その沢のほとりの木蔭に馬から降りて座って、乾飯(かれいひ:水やお湯で戻して食べるドライライス)を食べた。

その沢に、かきつばたがとてもきれいに咲いていた。それを見てある人が、「かきつばたという五文字を各句の頭に置いて、旅の心情を詠みなさい」と言ったので、男が次のような歌を詠みます。


らごろも つつなれにし ましあれば

るばるきぬる びをしぞおもふ 


 
(現代語訳:着て馴れ親しんだような妻が都に居るものだから、はるばるとこんなに遠くまで来てしまった旅を悲しく思うのです) 
 最後に、乾飯の上にポロポロと涙が落ちて、乾飯はふやけてしまったのだった、という何とも切ない落ちまでつくという物語です。

このように、五七五七七のそれぞれの頭に、別の意味を持つ言葉を織り込む言葉遊びを「折句」と言います。この「かきつばた」の折句を伊勢物語で学習した際に、国語の先生が「クリスマスをお題にした折句の歌を作ってらっしゃい」と宿題にしたので、やってみたことがあります。

……ん~。………んっ!?……ん~ん。………はぁ

といった感じで、2~3時間格闘しましたが結局できませんでした。


俵万智さんの短歌集の中に一首、クリスマスの折句が紹介してあったことを思い出しました。田中章義さんという十代の歌人の予備校時代の作品で次の歌です。


リスマス んりん響く 音を く無視して タディーハード


キーワードを隠すたわいもない言葉遊びのようですが、いざ作るとなるとそれがどうしてとても難しいのです。こういうのができる人はどのような才能を持っているのだろうと尊敬します。

国語の先生に伺ったところ、伊勢物語は2年生の2学期に学習し、第6段の「芥川」か、第23段の「筒井筒(つついづつ)」のどちらかを扱う予定だということでした。ネタバレになったらいけませんが、「筒井筒」は、井戸の周りで遊んでいた幼馴染のカップルが、大人になったら・・・?という、ちょっとビターな恋物語です。伊勢物語、きっと面白いです。是非、第9段の「かきつばた」も読んでみてください。

   【校長】
 

*1ツツジは漢字で書くと「躑躅」となり、難読漢字になります。英語ではazaleaと綴り、カタカナでは「アゼリア」とか「アザレア」と表記します。阿蘇市にある「アゼリア21」というレジャー施設(阿蘇から流れる天然水を源泉としているプール)の名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。ちなみに、アヤメは英語でirisと綴り、「アイリス」と表記されます。このiris、ギリシャ神話の「虹の女神」に由来する単語なんだそうです。

*2在原業平、今から約1,200年前に生きたこの方、天皇の血を引く由緒正しい実在の貴族なのですが、既存の風習にとらわれず、あちこちで女性と関係を持っていきます。そんな彼の女性遍歴集といっても過言ではないのがこの伊勢物語です。ついには神に仕える皇女と関係を持ってしまったのでは?ということを匂わせる話(第69段)もあります。関係を持った女性の数は何と3,733人!多分、誇張が入っているはずですが、今と結婚の形態が異なる平安時代の時代背景を考慮に入れても凄まじい数だと思います。実際にどれだけの女性と関係を持ったかは本人だけが知るところでしょうが、こうして物語のモデルとされてしまうくらいですから、女性関係が派手だったことは公然の事実だったのかもしれません。