徒然雑記帖

アクセス数736243 → 6,2,4の並びに15を見る

始業式の日の朝、「いよいよ2学期がスタート」ということで、少し気持ちが高揚していたのかいつもより早く目が覚めました。朝4時40分、部屋の温度は24.8℃、湿度53%、虫の音が響き、涼しく爽やかな夜明け前でした。

「2<<8とは末広がりのいい数字。確か、くまがわ鉄道の始発駅(人吉温泉駅)と終着駅(湯前)の営業距離数も24.8kmだったよね」とか頭を駆け抜けました。

珈琲を淹れた後、夏休み中、事故・怪我等の報告は受けてなかったので、「全員揃って始業式を迎えられればいいな・・・*1」と思いながらHPを立ち上げたら、午前5時7分現在の総アクセス件数は、

736243

 

「これって素数*2っぽい匂いがする!」と思って、暫く電卓を使って割り算を試みましたが、なかなか素因数が見つかりません。「ひょっとして、やっぱり素数?」と嬉しく思い、学校に行ってネット上の素数判定機にかけてみたら、予想どおり、みごと素数でした。

 

私、生徒の皆さん方からすごく丁寧な挨拶を受けますが、めったに話しかけられることはありません。自分が高校生の時を思い出しても、校長先生は遠い存在であり、言葉を交わした記憶はありませんので、無理もないと思っています。それなのに、何と、夏休み中にある生徒から声をかけられました。それも素数のことについてです。それも「どうして数をみただけで、素数と分かるのですか?」という極めつきの質問でした。

 

工業を学び、数字と縁が切れない職に就く人が多い皆さん方に「数字に強くなってほしい」という願いを込めて、色々な切り口から数字に関する記事を書いてきました。アクセスカウンタの記録から、かなりの生徒の皆さんが自校のHPを見ていることは間違いないとは思ってはいましたが、私の記事を読んで、素数に関心を持ってくれている生徒がいることをとても嬉しく思った瞬間でした!

 

でも、あまりにもストレートな質問であり、うろたえました。咄嗟のことで「いい質問だね」というのがやっとでした。というのも、素数かどうかの判定はコンピュータでさえ素数で次々に割っていくプログラムでやっているわけで、見ただけで分かるはずがないからです。「近々HPに、素数の見分け方の記事を書いておくから、それを読んでね」とその場を切り抜けました。ということで、興味がある人は少し長くなりますが、脚注*をお読みください。

 

ところで、この736243を使っていつものように、数字の並びをそのままにして、加減乗除等の記号を入れてみたくなりました。新学期の9月1日*4にちなんで91という数字を作ってみることにしました。

 

73+sin-1{(√6-√2)÷4}+3=91

 

数字の真ん中ほどの6,2,4の並びに閃くものがあり、完成したのが上の式です。でも、「sin-1って何?」という声が聞こえてきそうです。加減乗除等の「等」をかなり拡大解釈しています。いつもは「中学生の皆さんへ」という脚注をつけていますが、今日は「sin-1ついて」という脚注を設けます。レベル的には、数学Ⅱで三角関数の加法定理を1学期に学習した2年生以上の皆さんが対象になります。

 

【注】 sin-1について

 

sin-1とは「サインインバース」と読み、sin-1 xは、「サインの値がxになるような角」を返す関数(サインの逆関数)です。右肩の「-1」の記号は、逆三角関数を意味する記号で、「マイナス1乗」ではないことに注意が必要です。

例えば、sin301/2ですから、sin-1(1/2)30(度)となります。(通常、xの定義域は−1 1で、その値域は「度」の場合、−90° y 90°となります)

なお、sin-1xは、arcsinxと表記することもあり、この場合は「アークサイン」と読みます。この逆三角関数は、高校でも学習しませんので、中学生は勿論、高校1年生の皆さんも今は何のことか分からなくても構いません。「そんな数学があるんだ・・・」というくらいの理解でもいいと思います。(ところが、なぜか校内で沢山の人たちが受ける計算技術検定2級には出てくるのです!この逆三角関数の問題が。昔から不思議に思っていました)

 

次に、高校2年生以上の皆さんは、sin(α±β)=sinαcosβ±cosαsinβという三角関数の加法定理を思い出してもらわなければなりません。ここで、α=45、β=30と代入してsin15を計算すると、

 

sin15sin4530

sin45cos30cos45sin30

(2/2)×(3/2)(2/2)×(1/2)

(6-√2)/4  (=(6-√2)÷4)     となります。

 

従って、sin-1{(6-√2)÷4}15 (単位は「度」)となるわけです。

 

早い話、6と2と4を使って15という数字を作りたかっただけの話です。

(6!÷2÷4!=15です。そんな面倒くさい関数を使わずに、いとも簡単に15ができることに、たった今気付きました)

 

 

話は大きく変わりますが、昨夜、ラジオを聞いていたら、アメリカの駐在員が「こちらでは8月末か9月頃に新学期が始まる大学が多く、新学期の始まりを"back to school" というフレーズを使うことが多いです。これを聞いたら、『あ、新学期が始まったんだな…』と感じます」とか言っていました。なるほどと思いました。

その後、街を歩く学生にインタビューをされていて、早口の英語が聞こえてきました。所々しか聞き取れませんでしたが、次の英文だけはどうにか聞きとれました。皆さんならどう訳しますか?*5

 

School has started and I like it so far.

 

このような一日であったでしょうか。

今日の始業式でも申し上げましたとおり、2学期が充実したものであることを願っています。

【校長】

 

*1お昼過ぎ、教務主任の先生から今日の出欠状況の報告を受けました。3学年揃って欠席、遅刻等ゼロ。在籍する全員で新学期を迎えることができることに幸せを感じました。

 

 

*2素数(prime number:プライムナンバー)とは、「2以上の整数のうち、1と自分自身でしか割ることができない数」です。「1とその数以外、正の約数がない数」と言ってもいいです。例えば1から100までの100個の整数の中には、2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47,53,59,61,67,71,73,79,83,89,97

25個の素数があります。

古代ギリシャの学者エラストテネス(紀元前276?~紀元前194?)は、連続してたくさんある整数の中から素数だけを抜き出す方法を発見し、これを「エラストテネスの篩(ふるい)」といいます。これは一種の「消去法」です。

まず、調べたい全ての整数を順番に一覧表に書き出します。その表の中で、まず1は素数でないのでこれをまず消します。次に2は素数なので残し、2の倍数を消します。次に、3は素数なので残し、3の倍数を消します。同様に5を残し5の倍数を消し、7を残し7の倍数を消します。このように次々に素数を残しその倍数を消していくと、最後に素数が残ります。

ちなみに、1から100までの素数を求めるには、√100、つまり10までの素数の倍数、即ち、2,3,5,7の倍数を自身を残して消していけばいいです。(1は素数ではないので消し忘れないように)

このエラストテネスが発見した方法は、極めて原始的ですが、2000年経った今でもこの「エラストテネスの篩」に勝る方法は見つかっていないそうです。ちなみに、歌手の中尾ミエさんが歌う「エラストテネスの篩」という分かりやすく楽しい動画がEテレ(NHK教育)の2355という番組(月~金の23:550:00)でたまに放送されているらしく、私が素数の虜(とりこ)になっていることを知る知人から教えていただきました。それ以降、時々思い出したように番組を見ていますが、まだ目にしていません。

 

 

*3素数の見分け方」とは(ありもしないという意味で)大胆不敵なタイトルです。

 

その話をする前に、まずは、数の性質として次のことは大丈夫でしょうか?

2の倍数の見つけ方=下1桁が2で割れる(偶数ならOKということです)

3の倍数の見つけ方=各桁の和が3で割れる

4の倍数の見つけ方=下2桁が4で割れる

5の倍数の見つけ方=下1桁が0か5

6の倍数の見つけ方=各桁の和が3の倍数かつ偶数

7の倍数の見つけ方=ありますが、次のように面倒です。
    7で割った方がよっぽど速いので7で割ってください。

 

①例えば、数字を (abcdefghijkl) とします。

<> a=6, b=7, c=3 の場合  (abc) 673 すなわち 六百七十三 を表します)

②この数字を、1の位から3桁ごとに分けていきます。

abc,def,ghi,jkl

3桁の塊(かたまり)を一つ飛ばしにグループ化します。
       今回は色分けして赤と青のグループにします。

abc,def,ghi,jkl

④グループ毎に和を求めて、その差を計算します。 ( abc + ghi ) ( def + jkl )

(もしも、青の和の方が赤の和よりも大きいのであれば、青 – 赤 の計算をします)

⑤この 差 が 7の倍数であれば、もとの abcdefghijkl 7の倍数です。

   <検証> 813297496970 という数字の場合

      (813496)–(297970

1309 1267

      =42 

(7の倍数なので7で割り切れる。実際、813297496970÷7=116185356710

 

8の倍数の見つけ方=下3桁が8で割れる

9の倍数の見つけ方=各桁の和が9で割れる

10の倍数の見つけ方=下1桁が0

11の倍数の見つけ方=ありますが、これまた面倒です。
    11で割った方がよほど速いので11で割ってくだい。

12の倍数の見つけ方=下2桁が4で割れかつ各位の数字の和が3割れる

 

要は、2、4、8の倍数は下〇桁が割れるかどうかで判断、3、6、9は各桁を足した数が割れるかどうかで判断するということを忘れないようにしてください。

 

では、今年の年号の2017を例にとって、それがどうして素数なのかを一緒に考えてみましょう。

2017は奇数なので、2、4、8の倍数でないことが分かります。

また各桁を足してみると2+0+1+7=10なので3、6、9の倍数でないことが分かります。

では、次にやることが分かりますか? そうです。「7で割る」です。

残念ながら2017は7では割れないので7の倍数ではありません。

 

では、次にやることが分かりますか? 分かりますよね。「11で割る」です。

残念ながら2017は11では割れないので11の倍数ではありません。

 

では、次にやることが分かりますか? 大丈夫ですよね。「13で割る」のです。

残念ながら2017は13では割れないので13の倍数ではありません。

 

このように、どんどん素数で割っていくのです。(記事本文の7行目の下線部、「電卓を使って割り算を試みました」とはこの作業をしていたわけです)

それでは、どこまで割っていけばいいのか考えましょう。

 

2017÷13=155.1・・・ 割り切れません。

2017÷17=118.6・・・ 割り切れません

2017÷19=106.1・・・ 割り切れません

2017÷23=87.6・・・  割り切れません

2017÷29=69.5・・・  割り切れません

2017÷31=65.0・・・  割り切れません

2017÷37=54.5・・・  割り切れません

2017÷41=49.1・・・  割り切れません

2017÷43=46.9・・・  割り切れません

2017÷47=42.9・・・  割り切れませんが、ここでストップです。

 

なぜ、ここでストップするのかというと、割る数よりも商が小さくなっているからです。割る数よりも商が小さくなっているのに割り切れないということは、今後も割り切れる数は存在しないということなのです。(厳密に言うと、√201744.9・・・なので、45の手前の素数43でストップでいいのです)

【まとめ】 2017は素数

 

極めて原始的だと思われたかもしれませんが、先にも書いたとおり、コンピュータを使って素数だけを抜き出す場合にも、基本的には素数の倍数を消していく計算をプログラミングによってさせているだけと聞きます。素数の判定方法の公式や、素数だけを作る公式はいまだ発見されておらず、もし発見したら、世界的ニュースになり、フィールズ賞(ノーベル賞の数学版)受賞は間違いなしと言われているそうです。挑戦してみますか?

 

そういえば、図書館にも入っている科学雑誌のNewton8月号の特集が「素数」でした。

この徒然雑記帳の中で既に話題にしていた「素数ゼミ」(5/11)や「双子素数」(5/20)についても魅惑的なカラー写真が添えて取りあげられている他、「ネットショッピングでカードが使えるのは、巨大な素数のおかげ」など興味深い記事も載っていました。関心がある方は、ぜひ、読んでみてください。


*4今日は、192391日に関東大震災が発生したことに由来する「防災の日」でもあります。北朝鮮の弾道ミサイルに備えた避難訓練が熊本市で行われたというニュースを耳にしましたが、学校の防災マニュアルにミサイル対応まで書き込むべきか悩んでいます。

 9月1日で思い出しました。脚注*2の最後に話題にしたNHKEテレの2355の姉妹番組0655で(午前6時55分~7時放映)で「9□1□」の四字熟語を出題にしていました。

もちろん、答えは「9死1生」(危ういところで奇跡的に助かること。ほとんど死を避けがたい危険な瀬戸際で、かろうじて助かること)です。

言うまでもありませんが、通常、九死一生のように漢数字で書きます。十のうち九まで死の可能性が高いことで、ほとんど死が避けがたい危険な場合をいいます。


*5試訳:「学校が始まりましたが、今のところ嫌なことはありません」