センター試験に出た約数の個数
「校長室より」のサイトでは、HPの総アクセス数が節目の数を迎えるたびに、その数を素因数分解するなどして、その数に関する話を深めてきました。
例えば1月10日の900000を取り扱った記事では、
900000=25×32×55
従ってその約数は、1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 10, 12, 15, 16, 18, 20, 24, 25, 30, 32, 36,40, 45, 48, 50, 60, 72, 75, 80, 90, 96, 100, 120, 125, 144, 150, 160, 180, 200,225, 240, 250, ・・・(途中略)・・・, 30000, 36000, 37500, 45000,50000, 56250, 60000, 75000, 90000, 100000, 112500, 150000, 180000, 225000,300000, 450000, 900000
の108個です。
と書いていました。しかし、これまでこの記事の中で約数の個数の”求め方”について触れたことはありません。中学校の数学で学習して当然知っているものとばかり思っていましたので。
ですから、1月14日行われた大学入試センター試験の「数学Ⅰ・数学A」の第4問の(1)に次のような問題を見つけて驚いたところです。
144を素因数分解すると
144=2ア×イ ウ
であり、144の正の約数の個数はエオ個である。
慌てて数学の先生に確認したら、「約数の個数については高校の数学Aで学習している」ということでした。私は以前、中学入試で関連問題が出題されているのを見たことがあり、小学生でも知っていることかと誤認識していました。
生徒の皆さんは、「素因数分解して指数を見れば約数の個数が分かる」ということを知っていましたか?公式風にまとめると次のとおりです。
正の整数nが n =p1a 1・p2a 2・・・pkak
と素因数分解できるとき、
nの約数の個数は (a1+1)・(a2+1)・・・(ak+1) 個である。
例えば、12 は22×3と素因数分解できるので、約数の個数は
(2+1)×(1+1)=3×2=6
で6個となります。
センター試験の問題なら、144を素因数分解すると
144=24×32
ですから、約数の個数は、
(4+1)×(2+1)=5×3=15
で15個となります。
従って、正解は、ア:4、イ:3、ウ:2、エオ:15 です。簡単な問題で、ほとんどサービス問題といってもいいかもしれません。
ところが、この問題を通して面白い議論をすることができます。
前回の記事の中で、「過去の記事を引っ張り出し、これまでこのサイトで扱った数について約数の個数を確認しました」とあり、次のように取り上げました。
555555→ 54個(H29.4.3)、 600000→84個(H29.5.20)
666666→ 96個(H29.7.10)、700000→72個(H29.8.2)
777777→ 48個(H29.10.4)、800000→54個(H29.10.22)
888888→128個(H30.1.2)
皆さん、この約数の個数を見て、ある特徴に気付きませんか?
そうです・・・。全部偶数個なんです。
では、約数の個数が奇数になるのはどんなときでしょう。実は・・・
正の整数nについて、
nが平方数⟺ nの約数の個数は奇数
が成立します。「⟺」の記号は、論理学で同値を意味し、「pならばq」と「qならばp」が同時に成り立つとき、pとqは「同値」といい、p⟺qと表します。詳しいことは数学で学習しますので証明等は割愛しますが、「平方数のときに、約数の個数が奇数になる」ことは知っておくべきことだと思います。
センター試験で出題されていた144は122で平方数です。そういえば、平方数である4(22)は、1,2,4の3つ(奇数個)の約数を持っています。
センター試験が終わって、いよいよ二次試験です。現役生にとっては、人生で初めての体験をしているわけで、不安やプレッシャーは大きいことでしょう。どこかの予備校のCMではありませんが、「苦しいときが伸びるとき」これは確かに言えています。本校にもセンター試験を受けた生徒がいます。
「最後の一日まで伸びる」、この言葉を信じて頑張ってください。
【校長】