「キャリアを繋ぐ」「人と繋がる」「社会と繋げる」教育の実践 第Ⅳ章
プラス 「学校基盤づくりの5S(Simple Slim Steady Speedy Safety)」
1 はじめに
今年の体育大会のテーマは「猪突猛進 輝く未来へ かけぬけろ」です。「平成」から「令和」へと一気に駆け抜ける本校の姿をイメージしたスローガンです。3年間という限られた時間の中で「自分を見つけ」「自分の進路を探り」「自己決定」し、「充実した学校生活を 充実した社会生活へ」を実現していくためには、時間を有効に使っていくことが必要です。何もしないで成功するよりも、失敗を繰り返しながら何かを掴んでほしいものです。
ひのくに高等支援学校は今年で開校19年目を迎えます。次年度はいよいよ大人の入口「はたち」を迎えます。軽度の知的障害がある生徒の「社会自立」「職業自立」をめざし、500人を超える卒業生が地域社会の中でたくましく生きています。しかし、卒業生の悩みや在校生の不安の一番に上げられるのは「職場の中でのコミュニケーション」です。また、在校生の生徒指導の中で顕著なのが、
・異性との関係づくりを含めた人間関係の形成に関わること
・怒りのコントロールやストレスへの対処
・自己肯定感の低さと不登校
・携帯電話への依存
・相談相手がいない、作れない
などです。身体の成長と心の成長のアンバランスさや場に応じた対応の未熟さから不適応行動へと移行していく生徒が多くみられます。
そこで、本校では、生徒が有する心や行動の在り方について、個の障害に視点をあてながら、その改善克服のために自立活動の時間を設定し、授業実践に取り組みはじめました。さらに、授業実践がエビデンスに基づくものとなるよう研究部を創設、研究テーマのもとに3年スパンの実践研究にも取り組んでいます。
今年度はその3年目として、集大成の年になります。本校教職員の専門性向上を目的に1年目の「ベース研究」、2年目の「プラクティス研究」、そして3年目の「実証研究と公開」と公開授業研究発表会を開催します。本校の実践研究が特別支援学校における障害の軽度化の流れ、新設される高等支援学校や高等学校における特別支援教育推進の一助になれば幸いです。
2 本校教育の基盤としての校訓 「『心』清く、『道』正しく、『生』逞しく」
清くとは・・
学校生活で、社会生活というより大きな集団、さらに共生社会において自分らしさ(個性)を発揮しながら、自他ともに認め合う人間関係をつくること。
正しくとは・・
社会のルールやマナーの理解、善悪の判断、礼節など、道徳的心情を基盤に、判断力、実践力、道徳的態度等の道徳性を身につけること。
逞しくとは・・
社会自立・職業自立をめざし、知・徳・体という実践力に併せて、基礎的・汎用的能力として「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」を生きる力として育むこと。
3 校長が示す学校経営方針
①キャリアを繋ぐ教育実践
・一貫教育と実用的な知識・技能・態度・表現力の育成
・キャリアとは生きる力であり、中学校から本校における一貫教育や段階的、系統的指導へ、そして社会へと繋 いでいく。
②人と繋がる社会生活力育成:地域人としての社会生活能力育成
・自他共に認め合える生徒間の人間関係を育成する。
・お互いの人格を尊重する教職員間の人間関係づくり。
③社会と繋げる進路指導:自己選択、自己決定、自己責任
・社会のルールやマナーの理解促進と人格者として生きるための素地を育成する。
④5Sの視点に基づく学校基盤づくり
Simple =生徒や保護者、地域にわかりやすい組織と実践
Slim =スクラップアンドボトムアップの発想で、スマートな組織と時間配分
Steady =堅実に 伝統を大切にしたエビデンスに基づく実践研究
Speedy =コンプライアンスに基づく報・連・相
Safety =基礎・基本を大切にした安心・安全な学校
4 教育の重点事項
①設置目的:100%の企業就労を目指したトランジッションと定着
②研究と修養:研究テーマに基づく実践研究のまとめと公開
③専門性:校内支援体制構築と地域に根ざす教育推進のためのセンター的機 能充実
④教育基盤:人が環境を作り、環境は人をつくる教育環境整備と人材育成
⑤教育課程:自立活動充実のためのカリキュラムマネジメント
⑥働き方改革:風通しのいい学校組織と報・連・相
5 重点事項の具現化
①人権教育:
全ての教育活動において人権教育の視点に立った実践を行い、人権感覚の醸成を図る。
②進路指導:
全教職員が進路保障に関する専門性を高め、全ての生徒の進路保障を行うとともに、卒業生の追指導の充実を図 る。
③コンプライアンス:
学習指導要領の改訂を踏まえ、授業実践研究に基づいた教育課程編成に努める。
④道徳教育:
命を育み、自律や社会連帯の精神を育むための道徳教育を重視する。
⑤専門学科:
自立の視点を大切にし、コアカリキュラムとしての専門学科における指導の充実と時代のニーズに応じた教育内容 の創造を図る。
⑥生徒指導:
自律の視点に基づき、基礎・基本を大切にした教育を計画的に行う。また、生徒の個性や環境要因を考慮しながら 個別の指導プログラムを 策定し、生徒指導を行う。
⑦自立活動:
自立活動に関する指導の充実を図り、生徒のコミュニケーション行動や心理面へのアプローチを行うとともに、 校内支援委員会の充実を図る。
⑧センター的機能:
巡回相談や情報発信により地域の教育力向上に努める。特に高等学校における特別支援教育推進に寄与する。
⑨安全・安心:
安全で安心な学校づくりを行うための防災教育・安全教育の推進、地域と一体となった教職員の実践的危機管 理力の向上を図る。
⑩健康:
生徒の健康の保持増進に努めるとともに、身体的、心理的な発達を踏まえた保健指導の充実を図るとともに、関 係医療機関との連携を図る。
⑪環境教育:
全国緑化コンクール金賞受賞を契機に、取組の進化・継続を図る。
⑫エビデンス:
・自立活動に関する研究テーマを設定し、実践研究を推進しながら教職員の専門性向上を図るとともに、実践を広 く公開する。
・定期的に校内授業研究会や専門性向上に関する校内研修会を実施する。
⑬インフォームドコンセント:
教育の可視化と保護者や地域と有機的ネットワークの構築を図り、信頼関係を構築する。
⑭事務処理:
不適正経理防止と円滑な文書処理により業務のスリム化を図るとともに、計画的に設備更新を図る。
⑮寄宿舎:
生徒の生活自立に向けた寄宿舎における新たな指導内容や方法の構築を行う。
⑯学校改革の視点に基づくカリキュラムマネジメント
視点1:組織改革
ア 多様化する教職員の業務を「負担軽減」という観点から組織改革を行い、スリムな組織、わかりやすい学 校運営を行う。
イ 教職員の個性や得意分野を活用した人材配置を行い、組織の活性化を図る。
視点2:授業改革
ア 基礎的・汎用的能力の視点から作業学習の在り方について検討する。
イ 教職員の教科指導力向上により、生徒の知的欲求充足を図る。
ウ 言語活動を活発にし、コミュニケーション能力や自己表現力の育成を図る。
エ 音楽や美術などの芸術活動を通して、生徒の感性を育む。
オ 自立活動の視点を重視した授業づくりを行う。
カ 進路を巡る社会構造の変化、21世紀型能力の育成、学習指導要領改訂を見据えながら教育課程再編成を 推進する。
平成31年4月1日
熊本県立ひのくに高等支援学校
校長 中山 龍也
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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31   | 1   | 2   | 3   | 4   | 5   | 6   |
熊本県教育情報システム
登録機関
管理責任者 校長 山本 信一郎
運用担当者 情報部
〒861‐1101 熊本県合志市合生4360-7
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