研究テーマ1

科学的な創造力・独創力・探究心(科学的な探求能力)の育成


1. 仮説

 創造力・独創力を育成するための教材を開発し、それを用いた探究活動や、大学の施設設備を活用し、より高いレベルの課題研究・テーマ研究等に取り組むことによって、科学的な創造力・独創力・探究心を育成することができる。

2. 実践

(1)科学的能力開発ゼミ「スーパーサイエンスⅠ」(理数科 1年)
 
  H23科学的な創造力・独創力・探究心を培う。物理・化学・生物・地学の分野で実施した。
 H24新しい教材や指導方法の開発を続ける。数学分野を追加して実施。
 H25数学分野で自己評価による評価法を実施、評価法の妥当性について検討。
 H26自己評価法を各教科で実施、生徒の変容の様子をはかる教師による客観評価法の検討。
 H27客観的評価の精度を上げ、自己評価と併用することで生徒の変容を捉える手法の開発。
   
(2)課題研究「スーパーサイエンスⅡ」(理数科 2年)
  
 H23大学・大学院と連携して、物理・化学・生物・地学・数学・工学・環境の各分野で実施。
 H24大学・大学院と連携の継続、指導者の指導力が向上。継続研究も増え、各分野で研究の質向上。
 H25大学・大学院と連携の継続と生徒主体による研究テーマの設定。学会での研究発表。
 H26研究機関等の連携先増加。研究テーマの多様化。外部発表会・学会等への積極的な参加。
 H27生徒主体の研究テーマ設定と外部発表会・学会等への積極的な参加。英語発表の機会創設。
   
(3)テーマ研究(普通科・美術科1、2年)
  
 H23普通科 2年生において理数科の課題研究と同様な研究活動(個人研究)の実施。
 H24普通科 2年生が研究活動(個人研究)の実施。論文まとめと研究発表会の実施。
 H25美術科・普通科1年生でグループ研究を実施、ポスター発表会を開催。2年生は個人研究。
 H26美術科・普通科1・2年生全員でグループ研究を実施。学年全体でのポスター発表会を実施。
 H271・2年生全員でグループ研究を実施。学年を超えて全校でポスター発表会を実施。
  
(4)科学系部活動の研究(希望生徒)
  
 H23物理、化学、生物、地学の 4部が活動。生徒理科研究発表会、科学研究物展示会などに出場。
 H24物理、化学、生物、地学の 4部が活動。生徒理科研究発表会、科学研究物展示会などに出場。
 H25物理、化学、生物、地学の 4部が活動。外部発表会・学会等への参加を増やす。
 H26外部発表会・学会等への積極的参加と地域連携、小中学生向け科学教室の強化。
 H27外部発表会・学会等への積極的参加と地域連携、小中学生向け科学教室の強化。

3. 成果

 第3期(H23〜27)研究開発では,理数科を主対象とし,探究活動において,科学的な創造力・独創力・探究心を身に付けるカリキュラム・指導法の開発を展開してきた。その成果として多くの理数科の生徒の研究成果は各種科学コンテスト等で評価され,海外コンテスト等に入賞する研究班も出てきた。
 この研究成果を普及した1・2年生の普通科・美術科対象の「テーマ研究」は,学校全体へと広がりをみせた。生徒のポスタープレゼンテーションを評価した結果では,科学的探究のレベルまで到達した生徒数がH26:18.9%からH27:33.8%と増加しており、探究の質も向上してきた。

(1)科学的能力開発ゼミ「スーパーサイエンスⅠ」(理数科 1年)

H23〜27 物理・化学・生物・地学・数学各分野で積極的な教材開発を行った。
H25〜27 評価法の研究により、教師による客観的評価と自己評価とを併用することで生徒の変容を捉える手法を開発した。その結果、生徒の創造力・独創力、探究心の成長を確認することができた。

評価ルーブリックと評価の例(物理分野)
評価基準→ A(3点)B(2点)C(1点)
評価規準 ↓
創造力・独創力を身に付けた。 独自の工夫が複数入ったレポート・作品をつくることができる。独自の工夫が最低1つは入ったレポート・作品をつくることができる。 新たな発見や独自の工夫は見られない。 
探究心を持ち、それを行動に移すことが出来る。(探究心)タワーを作るときの問題点を見つけ、それに対する解決策を論理的に示すことが出来る。 和た~を作るときの問題点を見つけ、それに対する解決の方向性を示すことができる。 問題点の発見や解決の方向性を示すことができていない。 
表1 レポートを評価するルーブリック


図1 授業前後における教師による客観評価の推移

(2)課題研究「スーパーサイエンスⅡ」(理数科 2年)

H24 生物班が第14回中国・四国・九州地区理数科課題研究発表会で特別賞受賞。
H25生物班がSSH生徒研究発表会で科学技術振興機構理事長賞受賞。数学班が第15回中国・四国・九州地区理数科
課題研究発表会で優秀賞受賞。
H26環境班がSSH生徒研究発表会でポスター発表賞受賞。バイオ甲子園 2014で日本食品衛生学会特別賞受賞。工学班が第16回中国・四国・九州地区理数科課題研究発表会で優秀賞受賞。宇宙工学班が第22回衛星設計コンテストで審査委員長特別賞受賞。
H27宇宙工学班が第23回衛星設計コンテストでジュニア大賞受賞。環境班が第17回中国・四国・九州地区理数科課題研究発表会で最優秀賞受賞。第30回中国青少年科学技術イノベーションコンテストで金賞受賞。
  • 大学、外部研究機関等との連携により、教員の指導力と研究の質が向上した。
  • 各種発表会等での受賞数が増加した。
  • 英語でプレゼンテーションを行い、国際的に発信する力が付いてきた。
(3)テーマ研究(普通科・美術科 1、2年)

H23〜24 普通科2年生において、研究活動(個人研究)の実施。論文まとめと研究発表会の実施
H25〜27 美術科・普通科でグループ研究の順次拡大と全校展開の完成。学年ポスター発表会の開催。学年を超えて全校でポスター発表会を実施。
  • 探究のプロセスを体験し、発表を重ね、外部の評価にさらされることで、創造力、独創力、探究心、及び科学的リテラシーが総合的に磨かれることが分かった。
  • 全校体制を進める中で、探究活動を指導できる人材が増えていった。
  • 探究活動用ワークシートを作り、実践することで研究の質が高まった。
  • 生徒のポスタープレゼンテーションを評価した結果では,科学的探究のレベルまで到達した生徒数がH26:18.9%からH27:33.8%と増加しており、探究の質も向上してきた。

(4)科学系部活動の研究(希望生徒)

H23 化学部が第35回全国高等学校総合文化祭(福島大会)自然科学部門に出場。熊本県生徒理科研究発表会で最優秀賞受賞、九州大会に出場。生物部が平成23年度熊本県科学研究物展示会にて熊日ジュニア科学賞受賞。
H24物理部が熊本県生徒理科研究発表会で最優秀賞受賞。九州大会に出場。物理部、生物部が平成24年度熊本県科学研究物展示会にて熊日ジュニア科学賞受賞。
H25物理部が熊本県生徒理科研究発表会で最優秀賞受賞。九州大会で優秀賞(2位)を受賞。生物部が平成 25年度熊本県科学研究物展示会にて熊日ジュニア科学賞受賞。第48回全国野生生物保護実績発表大会で自然環境局長賞受賞。
H26生物部が熊本県生徒理科研究発表会で最優秀賞受賞。九州大会出場。平成 26年度熊本県科学研究物展示会にて生物部が熊本博物館賞、物理部が熊日ジュニア科学賞受賞。第 48回全国野生生物保護実績発表大会で自然環境局長賞受賞。
H27物理部が熊本県生徒理科研究発表会で最優秀賞受賞、九州大会出場。生物部が平成27年度熊本県科学研究物展示会にて熊本県教育委員会賞受賞。
  • 活動の活性化や継続研究の深化により、研究の質が向上した。
  • 生徒の主体性を大切にした指導で、意欲が高まり、研究者としての資質が磨かれた。
  • 各種発表会等での受賞数が増加した。
研究テーマ2

科学的リテラシー(科学知識の活用能力)の醸成

1. 仮説

「科学情報」や「科学家庭」などを学校設定科目とし、教科横断型の学習教材を開発するとともに最先端の科学技術の授業等によって、科学的リテラシーの醸成を図ることができる。

2. 実践

(1)科学情報(理数科 1年)

H23〜H24 エクセルを用いた落下運動シミュレーションの作成。物理科との連携
H24〜H27 データ処理、レポート、プレゼンテーション、ポスター作成など探究活動との連携。
H26〜H27プログラミング学習環境「Scratch」の活用と大学との連携。

(2)科学家庭(理数科 1年)

H23 市販の中性脂肪測定キットを利用した食品中の中性脂肪の測定。
H24簡易比色計を用いたほうれん草の鉄の定量分析。
H25大学・大学院と連携の継続と生徒主体による研究テーマの設定。学会での研究発表。
H26研究機関等の連携先増加。研究テーマの多様化。外部発表会・学会等への積極的な参加。
H27生徒主体の研究テーマ設定と外部発表会・学会等への積極的な参加。英語発表の機会創設。

(3)特別授業・特別講演会(全校生徒)

特別授業 
H23〜27九州大学理学部・工学部・農学部

熊本大学医学部・薬学部・理学部・工学部

東海大学農学部
H26〜27熊本大学文学部・法学部・教育学部も加わる。
H27美術科生徒も上記大学の特別授業に参加する。
H26東北大学大学院 酒井聡樹先生「研究とは何か ?研究の進め方 基礎編」
特別講演会 毎年 1回の実施:全校生徒対象・外部にも公開

《H23〜 H27の特別講演会講師一覧》
年度演題所属・役職氏名関連分野
H23「創造力を生む」信州大学工学部
電気電子工学科教授
遠藤 守信 氏カーボンナノチューブの開発
H24「『はやぶさ』が挑んだ人類初の
往復の宇宙飛行、その 7年間の歩み」
宇宙科学研究所教授川口淳一郎 氏宇宙開発
H25「634mムサシを目指して」株式会社日建設計
フェロー役員
吉野  繁 氏東京スカイツリー(デザイン設計)
H26「幹細胞と再生医学」熊本大学発生医学研究所教授粂  昭苑 氏多能性幹細胞分野
H27「KUMADAIマグネシウム合金」熊本大学先進マグネシウム
国際研究センター長 教授
河村 能人 氏KUMADAIマグネシウム合金を開発

3. 成果

(1)科学情報

 学校設定科目「科学家庭」や「科学英語」をはじめ、他教科で得られた知識や探究活動を「科学情報」で学んだ科学的リテラシーを使って連携させ、ポスター制作やプレゼンテーションといった実践的成果としてアウトプットする流れをつくることができた。放課後のコンピュータ室の利用は活発となり、理数科だけでなく、普通科・美術科、あるいは生徒会や各種部活動による自主的なコンピュータ室の利用へと広がりを見せている。

(2)科学家庭

「科学家庭」に取り組むにあたり、新しい情報を取り入れることができるよう、大学の先生方や専門家の話を聞く機会を多く取り入れた。また、学校内でのコミュニケーションを密にし、協力者を見つけ助言やアイディアを得ながら進め、理科・情報・英語等の教科横断型授業を展開できた。 家庭科の教科の特性上、次期学習指導要領に導入される「アクティブ・ラーニング型授業」はすでに取り入れられているものであり、校内研修においても先導的な研究開発となった。
研究テーマ3

語学力を身に付ける学習活動の推進

1. 仮説

「科学英語」を学校設定科目とし、科学分野の学習教材を開発することによって、国際社会で活躍できる語学力を身に付けることができる。

2. 実践
(1)科学英語(理数科1年)

H23〜24 科学的な題材を扱った書籍の多読授業、SSH英語プレゼンテーション特別講義
H25 科学的な英文をもとに「コミュニケーション能力」、「リーディング能力」、「プレゼンテーション能力」の育成。
H26科学的な題材を扱った書籍の多読とプレゼンテーション
SSH英語プレゼンテーション特別講義
H27他教科との連携を図った英語によるポスタープレゼンテーション、マラヤ大学予備教育部日本留学特別コース(マレーシア)の高校生との交流

(2)英語の活用力強化(理数科2・3年)

H23〜25 JSPSフェロー講義(6回)、英語による理科実験授業(9回)
H26課題研究ポスタープレゼンテーション発表会への取組
英語による理科実験授業(化学や物理の授業担当教諭、英語の授業担当教諭、ALT、及び外国人講師によるチームティーチングの形態で実施)
H27英語による「ミニミニディベート」、 課題研究ポスタープレゼンテーション発表会への取組(外国人留学生を招いての発表会実施、発表会1月)

(3)スーパーサイエンスⅢ(理数科3年)新規

H27 課題研究ポスタープレゼンテーション発表会への取組(外国人留学生を招いての発表会実施)発表会7月、準備期間4月〜7月

3. 成果

 これまでの研究テーマ「語学力を身に付ける学習活動の推進」としての取組は,英語で理科実験授業,科学英語チームティーチング,英語によるプレゼンテーション等を実践してきた。また,生徒が自己の研究成果を英語で発表し,質疑応答まで対応できるようになるためには,研究開発の結果,3か年を見通した,継続的かつ計画的な指導が必要不可欠であることが明らかになった。生徒の「英語でやりとりする力」の育成では,探究活動の研究成果を英語で発表する意義を理解させ,複数の指導者がそれぞれの生徒を多面的に支援することで,語学力を高めたいという意欲が向上し,自己の研究内容を英語で発信することができた。
 理数科3年対象の理系大学院外国人留学生を招いた英語による課題研究ポスタープレゼンテーション発表会(模擬国際学会)後の生徒アンケートにおいて,「英語での質問を理解し,適切に対応できた」と回答した生徒は38%,外部の英語運用能力を測るテストにおいて,インタラクティブなコミュニケーションができる生徒の割合は41%であった。この数値をさらに高めることが課題である。
 第3期での仮説「『科学英語』を学校設定科目とし,科学分野の学習教材を開発することによって,国際社会で活躍できる語学力を身に付けることができる」の立証は一定の手ごたえは感じているものの,途上レベルにある。

(1)科学英語(理数科 1年)

H23〜24 科学的な題材を扱った書籍の多読授業を通して英文の速読、読解力を育成することができた。
[使用教
H23:Oxford Read and Discover(grade3.6)(オックスフォード出版局)
H24:National Geographic(ナショナルジオグラフィック)社サイドリーダー
H25科学的な英文をもとに「コミュニケーション能力」、「リーディング能力」、「プレゼンテーション能力」の育成の取組によって探究活動に必要な語学スキルの教材開発ができた。
H26科学的な題材を扱った書籍の多読とプレゼンテーション
多読とプレゼンテーションを結び付け、多読による英文内容をブックレポートという形でまとめさせた。その結果、自己表現とプレゼンテーションの融合につなげることができた。
H27他教科で調べた内容を英語に直し、英語によるポスタープレゼンテーションを行うことにより、探究活動に必要な語学スキルを育成できた。
この取組の成果発表をマラヤ大学予備教育部日本留学特別コース(マレーシア)の高校生との交流事業に位置づけた。

(2)英語の活用力強化(理数科2・3年)

●JSPSフェロー講義(H23〜25)
分野講義内容講師の国籍
植物病理学ユーラシアにおけるカリフラワーモザイクウィルスの集団イラン
材料化学ガスセンシング材料用としての機能性マイクロ/ナノ構造を有する金属酸化物の調製オーストラリア
工学雑音分析に基づく超高分解脳室温動作フラックスゲート磁界センサーの実現イタリア
複合化学高性能半導体ガスセンサーのための表面設計に関する研究ロシア
生物科学新規アセチル化制御因子・Xによるグロビン発現制御機構の解析タイ
基礎生物学ミトコンドリアの温度順応性の研究チェコ

●H26 課題研究ポスタープレゼンテーション発表会への取組
理数科2年:課題研究の内容を、英語でポスターにまとめ、プレゼンテーションを行う。その到達度(評価基準)は、CEFR-Jによる英語到達度指標に基づき、評価規準に応じて、1年次到達目標をA、2年次到達目標をB、3年次到達目標を Cと定めた。
到達度(評価基準)
評価規準ABC
やりとりができる自分のことに関して、簡単な質問をしたり、簡単な質問に答えることができる。自分の学問や専門分野に関して、予想される質問に答えることができる。自分の学問や専門分野に関する質問を理解し、適切に対応することができる。
発表ができる自分が知っていることや、関心があることを、簡単な語句を用いて説明することができる。自分の学問や専門分野に関して、練習すれば短い発表をすることができる。自分の学問や専門分野に関して、重要な点を順序良く提示しながら発表をすることができる。
聞くことができるゆっくり話されれば、自分の関心分野に関する簡単な語句や文を理解することができる。ゆっくり話されれば、自分の学問や専門分野に関する議論の要点を理解することができる。自分の学問や専門分野についての講義、講演、報告などの発表の要点を理解することができる。

(3)スーパーサイエンスⅢ(理数科3年)新規

 理数科3年生では、SSH研究開発を通して培った科学的な創造力・独創力・探究心や科学的リテラシーと、科学分野における語学力を合わせた総合的な力を、各理科研究発表会やコンテストの場で発揮させ、研究成果の普及に努めた。理系大学院外国人留学生を招いた英語による課題研究ポスタープレゼンテーション発表会(模擬国際学会)を成果の場とし、その後、ベネッセコーポレーションの「GTEC for STUDENTS Speaking Test」を実施し、その結果を分析した。
研究テーマ4

中核拠点校としてのシステム構築

1. 仮説

 研究成果の普及活動をとおして理数教育の充実を図るシステムを構築することによって、県内の理数教育の水準を高める中核拠点校となることができる。

2. 実践

(1)普及活動と中核拠点校の在り方

H23〜27 各種研究会で授業実践の発表と普及
H25〜27科学系部活動生徒研修会を熊本県高等学校教育研究会理化部会と共催した。
H26〜27熊本県SSH指定校合同課題研究発表会を開催した。
H27SSH研究成果報告会の開催
H23〜27大学や研究所等関係機関と連携を広げ,生徒の探究活動を深化させることができた。

(2)地域社会への成果の普及

H23〜27 指定5か年を通し科学実験教室等を多数開催した。江津湖みなも祭り、世界一行きたい科学広場、西原村水生生物調査、青少年のための科学の祭典、東町小学校 6年生対象実験教室、崇城大学テクノファンタジー、中学生向け学校説明会における課題研究発表および体験授業など。

3. 成果

 第3期(H23〜27)研究開発では,科学系部活動生徒研修会を3回(のべ250人参加),SSH校合同発表会を2回(のべ発表件数約80件)など高校間をつなぐ取組を中心となり企画運営してきた。また,地域のイベントや小中学校との交流などで科学実験講座,研究発表などを行い,科学教育の普及と推進に努めてきた。これにより、実験教室等を小中学校時代に経験した生徒が入学してくるなど効果が表れている。また,課題研究における大学や研究機関との連携,体験学習講座等による大学・企業との連携なども充実させることができた。留学生向け発表会や海外のコンテストへの参加も並行して行ってきた。それぞれの事業として成果を上げることは出来ており,今後は探究活動の到達段階を踏まえた各事業間の関連を意識するような働きかけや地域の理数教育のさらなる発展が求められている。

(1)普及活動と中核拠点校の在り方

H23〜27 
各種研究会で授業実践の発表と普及(熊本県高等学校教育研究会理化部会、九州地区理科教育研究会、高等学校教育課程熊本県研究協議会、全国理数科教育研究大会、熊本県ドリームサイエンスプログラム、全国高等学校校長会家庭部会等)
H25〜27科学系部活動生徒研修会を熊本県高等学校教育研究会理化部会と共催した。(参加者 H25:生徒78名、教員26名、H26:生徒94名、教員28名、H27生徒72名、教員17名)
H26〜27熊本県SSH指定校合同課題研究発表会を開催した。
(H26:発表件数34本、参加生徒約100名、H27:発表件数41本、参加生徒約130名)
H27SSH研究成果報告会の開催
(SSH事業報告、研究テーマ 1〜4に即した生徒研究ステージ発表12本、ポスター発表80本、研究テーマについての生徒パネルディスカッションなど)

◎大学や研究所等関係機関との連携状況
第3期指定での大学や研究所等関係機関との連携状況は以下のとおりである。
本校SSH事業の取組対象生徒連絡先
大学・研究機関学部学科
課題研究理数科2年崇城大学生物生命科学部 応用微生物工学科
熊本大学大学院自然科学研究所
森林総合研究所九州支所
熊本県産業技術センター
熊本県立大学環境共生学部(環境資源学科・居住環境学科・食健康科学科)
環境学習理数科1年東海大学産業工学部 環境保全学科
理数科3年熊本県立大学環境共生学部 環境資源学科
天草巡検理数科1年九州大学理学部付属天草臨海研究所
SSH英語プレゼンテーション特別講義理数科1年熊本大学文学部 コミュニケーション情報学科
九州大学体験学習講座普通科2年理系・
理数科2年
九州大学理学部 生物科学科、工学部(機械航空工学科・地球環境工学科・電気情報工学科)、農学部環境農学部門
熊本大学・東海大学体験学習講座研修普通科2年理系・
理数科2年
熊本大学理学部 理学科(数学・物理・化学・地球環境科学・生物)、工学部(物質生命化学科・マテリアル工学科・建築学科・機械システム工学科・社会環境工学科・情報電気電子工学科・数理工学科)、薬学部 薬学部、医学部 医学科
熊本大学 政策創造研究教育センター
東海大学農学部応用植物科学科
農学部バイオサイエンス学科
熊本県産業技術センターによる特別講義・見学実習理数科1年熊本県産業技術センター

(2)地域社会への成果の普及

H23〜27 西原村水生生物調査、青少年のための科学の祭典
H23崇城大学テクノファンタジー
H24〜25東町小学校6年生対象実験教室
H26九州コドモ工業大学
H26〜27 江津湖みなも祭り、世界一行きたい科学広場、中学生向け学校説明会における課題研究発表および体験授業

 指定5か年(第1期指定から数えると13年)で数多くの実験教室や一般市民向け研究発表を行ってきた。現在ではこれらの実験教室等を小中学生時代に経験した生徒が入学し、講師役になっている。今後も普及活動に取り組み、サイエンスに興味を持ってくれる子どもたちを増やしていきたい。
② 研究開発の課題


平成23年度〜平成27年度の取組による課題として以下の点が挙げられる。


【1】科学的な創造力・独創力・探究心(科学的な探究能力)の育成

 今後は,全校生徒の科学的思考力・判断力・表現力を向上させるために、探究活動のノウハウを一般化し、学校をあげて探究活動に取り組む必要が挙げられる。

(1)スーパーサイエンスⅠ「科学的能力開発ゼミ」(理数科 1年)
  • 評価を指導の改善に生かす「指導と評価の一体化」が具現化された取組の開発。
  • 教師と生徒が共に学習の到達目標を具体的に共有し、振り返りを通して効果的に学べるようなルーブリックの開発および授業実践。
  • 「習得」、「活用」、「探究」の学習プロセスにあわせた評価法の開発。
(2)スーパーサイエンスⅡ「課題研究」(理数科 2年)
  • 外部機関との連携、外部発表会参加の充実など研究の質を高める手法を確立できた。今後は、そのノウハウをより一般化し、汎用性が高い形で指導書等のマニュアル化を検討していきたい。
(3)テーマ研究(普通科・美術科1、2年)
  • 生徒全員に対し、ポスターセッションを行う機会をより多く作る。
  • 普通科、美術科の生徒に理数科や校外のレベルの高い発表を聞く機会を作り研鑽を積ませる。
  • さらなる職員の連携強化と指導力の向上。
(4)科学系部活動の研究(希望生徒)
  • 部員の多くが理数科のため、課題研究等の活動と重なり、多忙である。そこで、科学系部活動研究と課題研究の相互連携による研究活動の深化と負担軽減を検討する。また、科学系部活動を普通科や美術科へ拡充することで、それぞれの視点を生かした3科融合型研究として展開でき、全校で取り組んでいるテーマ研究の発展系として位置づけられるものとなる。
【2】科学的リテラシー(科学知識の活用能力)の醸成

(1)科学情報(理数科 1年)
  • 理数科 1年生の科学情報で確立したノウハウを普通科、美術科へも普及していく。教科横断型の取組を理系教科のみならず、すべての教科に広げていく。
(2)科学家庭(理数科 1年)
  • 理数科 1年生の科学家庭で確立したノウハウを普通科、美術科へも普及していく。
(3)特別授業・特別講演会(全校生徒)
  • 指定 13年間の実施内容を踏まえ、さらなる充実を目指す。
【3】語学力を身に付ける学習活動の推進

 理数科では3か年を通し、国際社会で活躍できる語学力を身に付けるための教材開発ができた。この成果を全校生徒に普及する取組を提案・実施していきたい。

(1)科学英語(理数科 1年)
  • 文法の学習も欠かせないので、基本文を繰り返して暗記させていきたい。この土台をもとに自己表現活動ができるのだが、進度を速める点から英語に課題を持つ生徒のフォローをいかにすべきかが課題と言える。「科学英語」の特徴点とのバランスをいかに保つかを検討したい。
(2)英語の活用力強化(理数科2・3年)
  • 理数科3か年を見通した、継続的、かつ計画的な指導として、理数科2年生を対象とした取組の確立と時間確保。県内、県外、及び国際的な研究発表会やコンテストへの積極的な参加を図る。
(3)スーパーサイエンスⅢ(理数科 3年)
  • 理数科3か年を見通した、継続的、かつ計画的な指導として、理数科3年生を対象とした取組の確立と時間確保。
【4】中核拠点校としてのシステム構築

 高校間の連携,地域への普及活動,大学・研究機関との連携など多数の連携事業を行ってきた。これにより、県内の理数教育の水準を高める中核拠点校として役割を果たすことができている。今後は,事業間のつながりを更に意識した系統的な取組でより効果を上げることが課題である。